フロントレーススタイル・・・今ではすっかり一般的になり、当たり前の様に提案できるようになりました。
僕は、このフロントレースの吊り方を提案する時に、いつも思い出す出来事があります・・・。
17~18年前、まだフロントレーススタイル、つまりレースカーテンが部屋側でドレープカーテンが窓ガラス側に吊るという通常の吊り方と逆のパターンがこれほど知られていなかった頃、ある地方の現場でのことです。
当社は、お施主様より直接ご注文をいただいたのですが、どうしても日程の都合で住宅のお引渡し前に施工に入らなければならなかったのです。
お引渡し当日、確か夜明け頃から施工に入り、まだお引渡しの関係者さん達が来る前に完了し、現場を後にしました。
リビングの大きなテラス窓に透け感のつよいオパール加工の花柄レースと朱赤の無地のドレープとの組み合わせです。
お引渡しの時間が近づくにつれ、説明等のある業者さんたちや、ハウスメーカーの関係者さんたちが集まってきます。
お客様が到着された時、誰かが、『大変だ!!、カーテン屋さんがカーテンを間違って掛けていったんでない?』と笑いながらお客様に話しかけられたそうです。
お客さんは『これでいいんですよ!!』と。
現場の皆さんは 『えっ??』 一様に目を丸くされたそうです。
当時はメーカーのカーテンカタログなどにもそのような施工写真などは全く見受けられなく、初めて目にする物だったのでしょうから、これは当然ですよね。
そこで、お客様はまるでカーテンショップの店員のように、きれいなレースを昼と夜とで違った表情で楽しむ事ができるんだと力説したそうです。
僕は後にお客様からこの話を聞き大笑いしたのですが、面白かったのと同時に、誇らしげにフロントレースの良さを説明しているお客様の姿を想像し、とても嬉しく感じました。きっと、ご満足いただいているのだろうと・・・。
そんな、当時は変わった吊り方だった形が、各カーテンメーカーのカタログブックの施工写真に載ることによって、普通に提案、採用されるようになったのです。
自由な発想でファブリックを楽しむという点ではとても良い事と思いますが、カーテンのプロとしては機能的や意匠的なデメリットもしっかり伝える必要があると感じています。
例えば、レースカーテンを手前、ドレープを奥(ガラス側)に付けると、ドレープの開閉を手引きで行なう場合、レースの奥に手を差し込み開閉、また、タッセルを掛ける時などは、手前のレースが邪魔になり掛けづらい、といった欠点があります。
また、このブログでもよく登場するプレーンシェードの場合。
一般的によく見かけるのは、レースと無地の厚地とのダブルシェードで室内側にレースを付けるパターンですが、これは注意が必要です。
特に色の濃い無地を後ろ幕(ガラス側)に付けた場合は、外部から見た時にプレーンシェードの裏側が見えます。
シェードの裏側には、リング付きテープや昇降コードが走っており、これは外部から見た時には非常に見っとも無いのです。
そんな理由で、僕は道路に面している窓で、特に一階の場合にはお薦めしません・・・。
・・・と、とても前置きがながくなりましたが、先日取付しましたオパール加工のプレーンシェードを付けた現場です。

写真はレースのプレーンシェードとロールスクリーンの組み合わせです。
こうすれば、外部から見てもロールスクリーンのシンプルな裏面しか見えませんので、美観上は問題ありません!

正に、道路に面したリビングの窓です。


外部からは、ロールスクリーンしか見えません。
夜は、ロールスクリーンの生地の光り抜けがありませんので、もっとレースの柄が浮き上がってハッキリと見えます。

隣のお部屋は細い横ストライプの柄を手前にシェードで取付。
フロントレースにするには、やはりもう少し柄がほしいですね。