昨年末より当社の提携縫製所においてカーテンのきれいなウェーブを半永久的に保つ形状記憶加工ができるようになりました。
これまでも簡易的にウェーブを整えることのできる形態安定加工は生地によっては施していましたが、これは、永久なものではなく、3~4回程度の水洗いで効果が薄れるものです。
それに対し、形状記憶加工は、ポリエステル素材のもつ熱可塑性の特徴を利用し、生地を波型の型紙に挟み、真空状態をつくる釜に入れ、蒸気によって半永久的な美しいウェーブを形成させる加工です。
きれいなプリーツがでにくい遮光生地や横糸の強いジャガード織りの生地などに有効です。
何度お洗濯を繰り返しても、また乱暴に開け閉めをしても、常にきれいなウェーブを表現してくれます。
クレーム処理の例をご紹介します。
納品時に簡易的なプリーツ加工である、形態安定加工を施しましたが、数週間の利用で写真の様に決して美しいとは言えないウェーブになってしまいました・・・。

縦横ともに糸の打ち込みも良く、また二重組織となったジャガード織り生地の為、何も加工をしなければもっとグチャグチャになるところですが、形態安定加工をしてもこの通りです。
お客様に事情をご説明し、代替のカーテンを製作し、3週間ほどお預りさせていただきました。

形状記憶加工を施し、見違えたのが上の写真です!
本来、形状記憶の加工は、カーテンの縫製途中で生地を真空釜に入れ、ウェーブを形成してから上部のプリーツをつくるという工程でおこなわれます。
しかし、今回は、既に出来上がったカーテンを加工しなければならず、一度縫い解き、釜入れ後再縫製しました。
大きいサイズが3窓あり、加工所の協力のもと、お客様にご満足いただけるよう直すことができたのです(ホッ!)。
では、もう1件、形状記憶加工の現場

レースはエンブロイダリー、こちらは何も加工しなくても裾のマクラメの重さで十分にきれいなプリーツがでます。


しっかりとしたジャガード織りの為、カーテン丈が長くなるとウェーブが出にくくなる生地です。
形状記憶加工で柄に合わせてウェーブが出るように縫製。
丸みのある美しいウェーブが永遠に保たれます。
僕は口癖の様に言っているのですが、「カーテンは吊ってみて何ぼ!」の商品です・・・。
いくら良い生地、高価な生地であっても、吊り下げた時に美しくなければその価値はありません。
そんな意味で形状記憶は、とても我々の味方となる加工技術の一つです。